自分だけの年金が作れるiDeCoですが、節税メリットだけに目を向けてしまうと痛い目に遭います。基本的な注意点として、口座は一人一口座しか作れず、申し込みをしたら、すぐに拠出を始めなければならないなどの制約があります。iDeCoを運用するときに注意すべきポイント4つを見ていきましょう。
iDeCoを運用するかの判断ポイント
iDeCoで運用をスタートして掛金を拠出すると、所得税と住民税が安くなることが最大のメリットです。一方で、iDeCoは60歳まで受け取りができず、途中解約をすることもできません。さらに受け取るときの方法によって課税方式が変わることも注意点の一つです。
そんなに注意することが多いのにiDeCoを運用する意味があるのか気になるところ。節税メリットとiDeCo口座による運用益が、60歳まで引き出せない制約、運用商品の価格下落による運用損、手続きの多さをカバーできるかどうかがiDeCoを運用するかどうかの判断ポイントになります。
課税所得 | 所得税 (税率) | 住民税 (税率) | 月額12,000円 (年額144,000円) | 月額23,000円 (年額276,000円) | 月額68,000円 (年額816,000円) |
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195万円以下 | 5% | 10% | 21,600円 | 41,400円 | 122,400円 |
195万円超330万円以下 | 10% | 10% | 28,800円 | 55,200円 | 163,200円 |
330万円超695万円以下 | 20% | 10% | 43,200円 | 82,800円 | 244,800円 |
695万円超900万円以下 | 23% | 10% | 47,520円 | 91,080円 | 269,280円 |
900万円超1,800万円以下 | 33% | 10% | 61,920円 | 118,680円 | 350,880円 |
1,800万円超4,000万円以下 | 40% | 10% | 72,000円 | 138,000円 | 408,000円 |
4,000万円超 | 45% | 10% | 79,200円 | 151,800円 | 448,800円 |
さらに、50歳以上でiDeCoを運用しようとする人は要注意。iDeCoは加入期間が10年以上ないと、60歳から受け取り始めることができません。たとえば55歳からiDeCoを始めた人は、63歳からの受け取りとなります。拠出期間は60歳までなので、受取開始までタイムラグが発生します。
加入期間 | 受取開始年齢 |
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10年以上 | 60歳 |
8年以上10年未満 | 61歳 |
6年以上8年未満 | 62歳 |
4年以上6年未満 | 63歳 |
2年以上4年未満 | 64歳 |
2年未満 | 65歳 |
iDeCo運用かつみたてNISA運用か
iDeCoで受取可能年齢に到達したり、障害給付、死亡一時金を受け取るときには、所得税の取り扱い方を考慮する必要があります。これもiDeCoを運用するときのポイントです。
一時金受取 | 退職所得 | 退職所得控除が適用 |
年金受取 | 雑所得 | 公的年金等控除が適用 |
障害給付 | 非課税 | ─ |
死亡一時金 | 相続税 | 死亡から3年以内:500万円×法定相続人の数まで非課税 |
死亡一時金 | 相続税 | 死亡から3年超~5年以内:受取人の一時所得 |
死亡一時金 | 相続税 | 死亡から5年超は通常の相続税 |
脱退 | 一時金 | 一時所得 |
該当する所得税の計算方法を税務署で確認してみてください。障害給付の場合は非課税になりますが、死亡一時金の場合は死亡からの期間によって課税方法が変わります。
NISAとつみたてNISAなら断然NISA一択です。しかし、運用に回せるお金を考えたときに月3万円程度が上限という制約が付くなら、iDeCo運用かつみたてNISA運用のどちらかを検討するとよいでしょう。
つみたてNISAは出金に制約がないため、急に現金が必要となったときに便利。iDeCo運用よりは、つみたてNISA運用のほうが使い勝手がよいでしょう。
iDeCoの運用はリスクを積極的に取る
いざiDeCoに運用することになったときには、自分の年金だから元本割れさせたくないという気持ちになるもの。しかし、若いうちにiDeCoを始めれば始めるほどリスクを取ったほうがよいといえます。
iDeCoの運用では、ポートフォリオはリスクを積極的に取るのが基本。元本保証型商品で運用するならiDeCoを使う意味がありません。元本保証型は20%ほどにして、元本変動型を80%ほど組み入れて積極的に攻めてみましょう。
iDeCoのうんようでは、リスクは組み入れる商品で調整。30代までに始められるなら、株式ファンドの比率を50%にして積極的に攻め、40代以上の人は債券ファンドを中心に株式ファンドを組み入れてみましょう。